スノーピークはキャンプのアパレルブランドです。新潟県下有数の工業都市三条市に本社を構え、厳しい自然条件下でも耐久性を維持できるよう作られた商品を提供しています。

キャンプをする人々にとって憧れの存在のブランドになった理由は、燕三条に江戸時代から伝わる金属加工技術を取り入れた品質の高さとデザイン性の高さ。

私は以前日本酒のことを知るために新潟に短期滞在していたことがあり、親友が三条市出身であったことから三条にはよく行きました。実はスノーピークでキャンプをしたこともあります。

5万坪のキャンプ場。見渡す限り広がる三条の自然の中で、贅沢な体験をした際に、新潟の起業家から三条市民まで皆スノーピークの社長を誇りに思っているという話を聞き、興味を持ちました。

その時までキャンプのことも、スノーピークのことも全然知らなかったのですが「地元に愛される素晴らしい会社なんだ」と感じたことを覚えています。

昨年たまたまスノーピーク社長の山井社長の講演を聴く機会があったので、その時の感想も含めて今日は「スノーピークのブランディング」についてお話しますね。

<目次>

1.キャンプを通して「人間性の回復を目指す」会社

2.製品へのこだわりと価格設定

3.キャンプ文化を根付かせるターニングポイントになったある一夜の語らい

4.徹底した顧客視点のためにキャンプ好きしか採用しない

5.山井社長のお人柄

1.キャンプを通して「人間性の回復を目指す」会社

三条はとても思い入れのある場所で、特に最初インパクトを受けたのが、職人が街を作ってきた三条はモノを作るのは上手だが、売るのは下手という話。

一方隣接する燕市は昔から商人の街で売るのが上手。燕三条はお互いに仲が悪いというのは有名です。

スノーピークは三条の職人魂が詰まった商品を作っています。品質にこだわり抜いた次世代も使える永く愛される商品。しかし、必ずしもキャンプ製品を売っているつもりはないということ。

「人生に野遊びを」が理念。

この理念をもとに、人々がキャンプで自然に溶け込み、正直に語らう時間を提供する。「キャンプを通して大自然と触れ、人間性を回復する」時間を最高のものにしてもらうために、製品設計をしているので自らを「デザインの会社」と定義しているようです。

スノーピークはPC業界のアップルとも呼ばれています。アップルが「モノではなく体験を売っている」としているように、スノーピークもモノを売るのではなくモノによって発生する付加価値をウリにしています。

2.製品へのこだわりと価格設定

80年代当時、「宿泊代を浮かせるための手段」という考えが一般的だったキャンプ。そのころテントは1万円で買えたそうですね。

元々私はキャンプに詳しくないので高いか安いか分かりませんが、1万円は安いと感じました。

しかし雨が降れば雨漏りするような「耐久」の部分では不確かなクオリティのものが多かったそうです。

そこでスノーピークは、永久保証を付けて強度やデザインにこだわったテントを作り、なんとその時代では破格の約17万円という値を付けました。

今までになかったキャンプのラグジュアリーな楽しみ方。そのパイオニア的な役割を担いました。しかし17万円のテントはまだキャンプ文化がそれほど定着していなかった日本では大衆には受け入れられませんでした。

しかし、スノーピークのヴィジョンに共感するコアなキャンプファンには好評だったようです。キャンプ好きな人にとっては「こんな製品待っていました!」と思った人も多かったでしょう。

3.キャンプ文化を根付かせるターニングポイントになったある一夜の語らい

スノーピークは一時期事業が低迷していた時期がありました。

そこで1998年、スノーピーク製品を買ってくれているお客さんと一緒にキャンプをする「スノーピークウェイ」というイベントを開催します。

集まった30組の顧客と焚火を囲みながら、スノーピーク製品に対して思っている率直なことを知ろうという企画でもありました。

すると、「価格が高すぎる」「品ぞろえが悪い」という厳しい声を全員からもらったそうです。

「徹底的なユーザー目線を実現させてきたのに、それが違っていた。」とショックを受けた山井社長。それまでの問屋経由での販売を止めることで価格の見直しを始めました。結果的に少しずつ業績も回復するようになりました。

顧客視点に合わせて価格の見直したものの、「製品は本物しか作らない」と自信があるので絶対に安売りはしなかったそうです。既存のキャンプ製品に比べるとスノーピーク製品は何倍もするものがあります。

しかし、その代わりに顧客は「他にはないラグジュアリーな時間」「世代が変わっても永く使える」という付加価値をスノーピーク製品に見出しているのです。テントを17万円にして永久保証を付けたことも、「キャンプと身近に付き合って家族や仲間と楽しんでほしい」「キャンプで体験した楽しい時間をテントと共に子供にも受け継いでほしい」というメッセージなのではないでしょうか。

4.徹底した顧客視点のためにキャンプ好きしか採用しない。

山井社長の講演を聴きに行った時に、「キャンプが大好きな人しか採用してない」というお話がありました。これはきっと1998年のスノーピークウェイのイベント後に強化されたのかもしれません。

「自らもユーザーであるという立場で考え、お互いが感動できるモノやサービスを提供する」の原点を絶対にぶれさせない決意。

「キャンプをする人でなければキャンプをするお客さんの気持ちも分からない、改善のアイデアやもっと楽しむためのアイデアが生まれない」ことなのでしょう。

スノーピークのキャンプ場の中にオフィスがあるのですが、なんと社員さんはそこのキャンプ場でスノーピーク製品を使って寝泊まりしてもOK。オフィスから歩いてすぐのキャンプ場で会社仲間と過ごすことなんかあれば、ビジネスアイデアがどんどん出て来て企画につながりそうですね。

5. 山井社長のお人柄

スノーピークはキャンプ業界に激震を与え、「キャンプをオシャレに楽しむ」「キャンプのラグジュアリーな時間」を創り出し、独自のポジションを築きました。

数年前からは「グランピング」という名前も出てきましたが、キャンプのシーンがオシャレなのはもう当たり前のように根付いてきましたね。

キャンプが楽しい!(Fun)を増やし、キャンプそのものへの憧れ、スノーピーク製品へ憧れを創出しファン(Fan)を増やす。

これは日本から始まり世界に伝番していっています。アメリカやオーストラリアにもなかった「新しいキャンプ文化」を浸透させていっています。

講演で話をされている際、山井社長は社員さんに対して、「彼らは本当によく頑張ってアイデアを出してくれる。よくやってくれている。」と感謝の気持ちが込み上げて涙を流しておられました。

とても熱くてステキな社長さんでした。ビジョンをどんどん実現していく素晴らしいスノーピークを応援しています!

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